Critique Of Games ―ビデオゲームをめぐる問いと思索―

ビデオゲームをめぐる問いと思索 http://www.critiqueofgames.net/


 たとえば、「ゲームに没頭している」と言ったとき、どういう状態が思い浮かぶだろうか。  典型的なイメージの一つとしては、「あっ、クソ!負けた!もう一回!」といってステージクリアーに燃えているプレイヤーの姿などが考えられる。そのような「再挑戦」という行為に根ざした形が「没頭」の大きな要素であり、単にゲームをいじっているだけで面白いというのは、一昔前までは「やりこみ」というプレイ方法を除けばさほど一般的なものではなかった。  しかし近年のMMORPGに見られる、いわば「チャットブースター」としてあり方や、目的もなく世界をとびまわるだけで楽しいという『ジェットセットラジオ』のインターフェイスの楽しさ、延々と馬を生産して馬のクオリティの上下の波を味わいのんびりと馬をみつめられる『ダービースタリオン』、あるいは同じ物語であっても「テキストを味わうために」プレイするというノベル系エロゲーのプレイヤー、といった形で、「再挑戦」を軸とする「没頭」のあり方は必ずしも絶対的な方法論ではなくなってきた。